私の手じゃ小さすぎるらしい。
ある日の夜、いつものように散歩の時間が終わった。
『はーいみんな帰りますよ〜』と散歩の時間の終わりを告げる。
チャコは、いつものように巨漢の体をゆっさゆっさ揺らしながら逃げ回る。
これがものすごく捕まえにくい。
しかしこの日は違った。
父がやっとこさ捕まえ、抱きかかえると、手の中にすっぽりと収まったチャコは何故か動かない。
いつもなら、全身の筋肉を使い、グイグイ手の中から出ようとする。
けれども、全身の力が抜けてる感じだし、心なしか目がトロンとしている。
『このまま寝そうじゃない?』なんて冗談で話してたら、本当に眠ってしまった。
そしてそのまま、ふっかふかの寝床へと戻されたのである。
その日以来、私や、母や、兄も手の中にチャコを抱きかかえ試してみた。
だが、『なにすんのよ〜!!』と、1秒とてじっとしててくれない。
今日もダメだったか・・・と意気消沈して水槽に戻そうとしたが、ふと思った。
「こんなに暴れ回っているときは、いくら父とて、チャコは暴れ回るに違いない。」
軽く父に嫉妬していた私は、チャコ抱っこしてみてよ、と暴れるチャコを父の手のひらに乗っけた。
父は手慣れたように、チャコの好きな体勢に片手で抱っこする。
すると、とたんに1秒前まで暴れ馬のチャコは、借りてきた猫よろしくおとなしくなった。
ああ、だんだん目がトロンとしてる。
完敗だ・・・。
「犬や猫が、ある一点を見つめていたりしている時、その視線の先には
『人には見えない物』が見えている。」
という話を聞いたことがある。
私は『霊』の付くものが大大大の苦手で、テレビの心霊物の番組は決してみない。
小さい頃、ビデオのドラえもんを見ていたとき、『あはははは!あはははは!』と2回、
男の子の笑い声がテレビからハッキリと聞こえてきた。
画面にはしずかちゃんしかいないのに。
巻き戻してもそんな声は二度と聞こえなかった。
この体験がトラウマになり、『霊』に対して異常に恐怖を感じる様になってしまったのだ。
そんな中、残業で夜中まで一人で残っていたとき・・・。
っっ!!!!!!!!!!!!!
あの〜・・・そっちにはドアしかないんですど・・・(泣)
右手を無くしてしまったのは私のせいだった。
生まれて間もないころ、巣材として、ペパーレミックスの他に、細く裂いたティッシュ
ペーパーを入れていた。
寒いかなと、よかれと思ったこの行為が裏目に出た。
そのティッシュぺーパーがカティの右手に固く巻き付いてしまったのだ。
子育て中のお母さんは神経質になっているから、水槽を毛布でくるみ、
ご飯の時以外は開けないようにしていたので、気づくのが遅れた。
慌てて病院に連れて行ったが、もう手遅れだった。
カティは目も開いていない頃から右手を失った。
ーあれから1年。
今では、他の子の食べている物まで奪い取るまでのオテンバ娘に育ってくれた。
当初、ひまわりの種の殻が剥けなくて、ポロポロと左手から何度も何度も落として、
一つ食べるのに5分はかかっていた。
けれども今は、器用に左手だけで他の子と変わらぬスピードで食べられるようになった。
脚力は、ずば抜けてカティが一番だ。
暴れん坊将軍のくせに、必ずゆきお母さんにぴったりとくっついて眠る、甘えん坊将軍。
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せめて、この場を借りて、スナネズミを飼っている皆様、飼おうと考えている皆様に、
私の犯した過ちを教訓として頂けたら・・・と思います。
最後まで愛情いっぱいで看取るからね。カティ。(あ、みんなもだよ)
湯船に浸かりすぎて、のぼせそうな表情のミルト。そばにけろよんを置きたくなる。
しばらくのぼせていたが、この後くるんと顔を中に引っ込めて、眠りについた。
いい夢みろよ!